幸せになるコツ
人は「幸せになりたい」と思って色々な行動をとります。「これを買ったら幸せになるかも。」「ここに行けば幸せになれるかも。」神社にお参りするのもそうですよね。
春日大社の元宮司であった故・葉室頼明さんは、本質的なお話をわかりやすく、たくさん私たちに残して下さいました。私も大好きなお話がたくさんありますが、「幸せになる」ことについてもお話されていましたので、抜粋してご紹介いたします。
劣等感をすり込まれた日本人
わたしたち戦後の日本人は、「いかに日本の伝統や歴史が間違っていたか」、「どれほど日本が外国より劣っているか」という教育を受けて育ちました。戦争に負けたからです。そのようにすり込まれているので、自分の国に自信が持てず、外国の真似ばかりするようになり、自分の目先の我欲だけで生きる人がたくさん増えてしまいました。
昔の人は、神様や人の幸せのために生きていた
日本人は本来、神様や人の幸せのために生きる民族で、何事も神様や先祖のおかげと感謝する生活を祖先たちは行ってきました。人間以外の生物は自分のことのみに生き、どうすれば子孫を残すことが出来るかということだけに生きていますが、人間だけが神様の世界を認め、それを具体的に表現することができるのです。そのために言葉と手を与えられたのです。
神様の世界には「自分の我欲だけで生きる」ということは存在しません。すべて「自分以外の幸せのために生きる世界」です。すなわち、「自分以外の人の幸せ」、そして「神様や祖先が喜んでいただくように生きていく」のが人間の姿であります。
これを行っているのが日本の祭りです。日本の祭りには自分の我欲を願うことはいっさいしておりません。ひたすら神様がお喜びになられることだけを行います。そして、祝詞(のりと)の最後には必ず神様に対する感謝の言葉と、子孫たちがいつまでも幸せに続いていけるように、ということが書かれております。
このように日本人はすべて、神様や祖先たちに対する感謝とお喜びいただく生活をし、つねに子孫の幸せのために生きてきた民族であります。私はいつも、日本人の祖先たちが伝えてきた伝統はすばらしいと言っているのです。
昔の人、とくに女性は毎日たらいで家族の下着などを手で洗いました。寒い冬などは冷たい水で洗うことは大変な苦労でしたでしょうが、しかし、家族の幸せを考えて洗濯をしている女性の姿は、まさに神様の姿に重なって見えてきます。
どうかもう一度原点に返って、「自分以外の幸せを願う生活」をしなければ、自分もまた幸せになれないということを、ぜひ子ども達にも教えてほしいと思います。
幸せになるコツ
葉室宮司のお言葉、とても心に響きますね。いまは願望を叶えるためのお参りが流行っています。そういう時もあっていいと思いますが、自分の幸せばかり願っている人と、人の幸せを祈っている人、どちらが神様に愛されて、結果的により幸せになるでしょうか?
みなさまもお参りされる際には、ぜひむかしの日本人のように「自分以外の幸せ」を祈り、神様や祖先に喜んでいただける暮らしをしていきましょう。それが幸せになるコツなのです。
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